昔、霧は長き夜の彼方を見つめ、
彼岸が今朝だと知らぬまま。
春の水の一針が霜の刃を収め、
半ばの夕が古い袍に替わる。

今宵振り返り、昔の私をいとおしむ。
明朝、岸に着けば、あの夜を思う。
玉がいつ磨き上がるのかと問うなら――
霧が晴れる前、そこにあるのは断橋。